まるでゼリーのような透明感のある光沢。
山の恵みを感じながら じっくりと味わいたい金柑の蜜漬け
金柑は冬の楽しみの一つ。
小さくてころころしている粒を器にこんもりと盛り、
生食で皮ごと食べる。
他の柑橘類にはない風味と食感があり、好きです。
甘くシロップ煮にしても良いし、
お肉料理のソースにしても美味しい。
幅広く楽しめます。
老松の橙糖珠は、金柑加工の最高峰。
自宅では絶対につくれない、金柑の蜜漬けです。
毎日糖度を少しずつ上げた蜜に入れ替えてつくるそうです。
フォンダン(すり蜜)でできた純白のスカートをはいています。
ねっとりとした金柑に、すり蜜のシャリ感がアクセントになっています。
透明感のある実に、清々しい純白のコントラストが見た目にも美しく、
和菓子として高い完成度。
バランスよくカットされた葉と枝が必ずついているところも
とても可愛らしい。
濃縮された中にも、そのまんまの瑞々しさ。
金柑の実をまるごと漬けてあるので、種もそのままです。
オレンジ色の金柑がここまで茶色くなるほど、
見た目にもわかる濃厚さですが、
実を割るときちんと果実の瑞々しさが残っています。
濃くて深い甘さの中にも柑橘類の爽やかさがあり、
山の恵みをしみじみと味わえます。
老松のサイトを見ると「お茶事の八寸の山のものにもお使いいただけます」
と書いてあり、納得です。
茶道の正式な茶事は懐石料理とお酒がふるまわれるのですが、
その中で亭主と客人がお酒を酌み交わすときの酒の肴として
八寸四方の杉のお盆に「海のもの」と「山のもの」を一緒に盛って出します。
渋めのお茶や抹茶といただくのも良いですが、
なるほど、日本酒のあて!
私のような酒飲みには、それが一番良いかもしれません。
葉盤に盛られた非時香実
店名の松がモチーフ。「松の葉」の意味もあるとみた。
白地に松葉を散らしたのシンプルな紙袋。
松全体が書かれていないのに、この松の葉だけで
苔むして威厳のある松の老木がイメージできます。
素晴らしい表現力。
松の葉が散らしてあるのは、もちろん「老松」だから
だと思いますが、あえて松の葉しか書いていないのは
「松の葉=ほんの手土産」の意味を込めているのかもしれませんね。
推測ですが、たぶん、そうだと思います。
神様にささげるお菓子。
箱にかかってる掛け紙。美しくてインパクトのあるデザインです。
これは葉盤、「ひらで」と読みます。
柏の葉を円形になるように竹ひごで刺し止めたお皿で、
神様にささげる供物のためのお皿です。
さらに非時香実(ときじくのかくのこのみ)と書かれています。
永遠の命をもたらす、不老不死の霊力を持った実のことです
(一般的には橘のことだと言われています)。
それくらいの手間と気持ちが、小さな一粒一粒に込められている、
そんな感じのするお菓子です。
かなり壮大なパッケージングでも、
京都の老舗のお菓子だからこそ、このくらいやっても浮ついた
感じにならないのでしょうね。
お菓子data 京都の名店 有職菓子御調進所
老松は宮中の典礼や儀式の献上菓子をつくる
有職菓子御調進所。
京都で最古の花街、上七軒に本店(北野店)があります。
花街と言うと、敷居が高い感じがしますが
近くに北野天満宮もあり、参拝がてら寄るのも良いかもしれません。
路面店は、上七軒の北野店と、嵐山の2店舗。
百貨店では大丸京都店と、大阪の伊勢丹(ルクアイーレ イセタンフードホール)に
店舗があります。
東京でも、伊勢丹新宿店に。
金柑の他に、信州上田産の胡桃をローストしてから蜜漬けにした
「胡桃律」もあります。
写真は6本入り1,296円のもの。
箱のサイズ:H55×W128×D138mm
重さ:252g (紙袋含む)
日持ち:14日間
その他、10個入り2,052円、15個入り3,132円もあります。
老松 橙糖珠
http://oimatu.shop-pro.jp/
※すべて私の個人の感想です。
※サイズや重みなどの数値は実測です。多少の誤差はあると思います。
※記事の内容は投稿日現在のもので、お菓子の内容や金額、店舗情報は変更されることもあると思います。ご了承ください。